自動車産業・先端技術産業

日本及びドイツ両国における主要産業である自動車産業は、当事務所が注力してきた分野の一つです。当事務所は、日本におけるドイツ企業子会社をはじめとして、他国の一次サプライヤー、二次サプライヤー、アフターマーケット事業者、OEM事業者、ドイツにおける日本のサプライヤー・日本のOEM企業の子会社に、法律顧問を派遣しております。

また、ジョイントベンチャーの設立や、共同事業者の選定に関する調整・交渉など、多様な法的支援を行っております。さらには、ジョイントベンチャーに向けたリファイナンスや組織再編、解散手続のアドバイスにも高い実績を誇ります。

当事務所は、蓄積した豊富な経験に基づき、OEM事業者及びサプライヤーが直面する課題を深く理解することができ、製造ライン及び供給ラインの全体を把握した上で、クライアントの抱える特定の課題に即したサポートを提供することが可能です。

先端技術産業においては、老舗企業、スタートアップ企業、個人起業家等、多様な事業者に対して、製品特有の販売、供給、研究開発、複雑なライセンス契約等の、国際的な協力合意の交渉のサポートを提供して参りました。

当事務所においては、昨今のデジタル化やネットワーク化(インダストリー4.0)の発展と、それに伴う自動車産業と先端技術産業の発展を注視しております。これらの中には、OEM事業者による自動運転車の開発に付随して、サプライヤーや保険会社に生じうる、不法行為責任、労働法問題、自動車保険、競争法上の法的論点に関する問題点も含まれております。ドイツにおけるインダストリー4.0及びモノのインターネット化についての日本語での最新情報については、国際商事法務2016年7月第44号(国際商事法研究所)に掲載された記事をご覧ください。

自動車メーカーへの支援の一例

・カルマン社のリーガルサポート

当事務所は、ウィルヘルム・カルマン社の日本における子会社、カルマン・ジャパン株式会社の設立をサポートいたしました。さらには、日産自動車株式会社の生産工場内に、カルマン社の製造ラインを設置するにあたり、供給合意、仲介代理店契約、工場リース契約等、様々な自動車産業特有の諸契約につき、契約交渉及び契約書の作成を手掛けました。さらに、ウィルヘルム・カルマン本社の経営破綻後には、マグナ社によるカルマン・ジャパン社の買収にも成功いたしました。

・日独の中小企業のジョイントベンチャー

あるドイツの中小企業が、日本の中小企業へ投資する際にサポートを行い、ジョイントベンチャーの設立に成功しました。この事例は「多元的統制」の手法を初めて適用し、一方的な統合過程ではなく、両社に多様なレベルの統制や管理を提供する統合過程をサポートすることにより、両社の利益を最大化することに重点を置きました。

サプライヤーへの支援の一例

  • リーマンショック後、経営破綻の危機に陥った日本の中小企業の組織再編を行い、新規製造ラインの立ち上げをサポート
  • ドイツ本社の経営破綻後、当時の子会社を保護するために種類株式を設計することにより、組織再編に成功し、清算人の請求を抑えることに成功
  • ドイツの優良自動車部品サプライヤーの日本子会社の法律顧問を務め、組織再編、労働法務、企業法務全般に従事
  • ドイツの自動車メーカーの日本グループの再編を行い、TOBにより販売特約店を独立させ、新たな主要ブランドを設立
  • ドイツでの新規事業展開にあたりハイエンドの自動車部品のグローバル規模の代理店契約の交渉及び作成

先端技術産業への支援の一例

  • ある日本のテクノロジー・グループを代理して、アメリカのナノテクノロジー企業の買収に成功し、加えて、ドイツの共同事業者とのグローバル協力合意(製品固有の販売契約、供給契約、研究開発などを含む)を締結

サポート内容の具体例

  • クロスボーダーM&A取引、ジョイントベンチャー設立に関する契約交渉及び作成
  • 日本及びドイツにおける子会社や支店の設立
  • 人事労務に関連する会社法上、財務上の組織再編の運営
  • 製品安全及び製造物責任、ならびにリコール・クレーム対応・規制当局への対応を含めた保証問題への対応
  • 知的財産の保護、研究開発契約やライセンス契約の交渉及び作成
  • 法令遵守、独占禁止法、反トラスト法関連法務
  • 長期供給・販売・代理店契約、取引条件、並びに機械設置契約・物流管理契約

紛争解決・訴訟内外における弁護活動